ピロリ菌
ピロリ菌とは
ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は胃内に生息する細菌で、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんの原因として有名です。ピロリ菌は5歳以下のときに口から感染し、その後、一生涯感染が持続します。長期間感染が持続すると胃に萎縮性胃炎という慢性的な炎症状態を引き起こしますが、胃がんのほとんどがその萎縮性胃炎のある患者さんから起こります。
免疫が成熟した青年期以降に感染することは稀です。そのため一度除菌するとその胃がん、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の予防効果はほぼ一生涯維持されます。
- ピロリ菌感染の症状
- ピロリ菌は、その感染により直接症状が出ることはありません。長期間の感染で萎縮性胃炎という変化を起こしますが、こちらも無症状です。
胃潰瘍・胃がんになって初めて症状が現れます。
胃潰瘍・胃がんの症状は
・心窩部痛
・腹部膨満感
・悪心、嘔吐
・体重減少
・食欲不振 などです。
ただし胃がんもほとんどの方は無症状なので、ピロリ菌がいると言われた方、ピロリ菌を除菌した方は定期的に内視鏡検査を行う必要があります。
- ピロリ菌の検査方法
- ピロリ菌の検査方法は、大きく「内視鏡を用いて検査する方法」と、「内視鏡を使用せずに検査する方法」の2通りに分類できます。
「内視鏡を用いて検査する方法」
・迅速ウレアーゼ試験
・鏡検法
・培養法
「内視鏡を使用せずに検査する方法」
・抗体測定(採血を行います)
・尿素呼気試験(袋に息を吐いて、お薬を飲んで、20分後に袋に息を吐く検査です)
・便中抗原測定(検便の検査です)
このうちもっとも精度が高く、ピロリ菌が除菌できているかどうか判定するために用いられるのが、尿素呼気試験と便中抗原測定です。
ピロリ菌の検査をしたり、除菌をしたりする一番大きな目的は胃がんの予防です。胃がんがあるかどうかわからないのにピロリ菌だけ除菌しても意味はないため、ピロリ菌の除菌をする前には必ず胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)が必要です。バリウムによる胃X線検査では胃がんの40−50%ほどが見落とされるため、検査としては十分とは言えません。当院では患者さんが安心して検査を受けられるよう、日々努力を積み重ねておりますのでお気軽にご相談ください。
- ピロリ菌の除菌方法
- ピロリ菌の除菌方法は「1次除菌」と「2次除菌」の二段階に分けられ、どちらも薬を服用して除菌を行います。1次除菌でピロリ菌を除去できる確率は70%~90%と言われていますが、1次除菌ではピロリ菌を除去しきれなかった際に、2次除菌に移ります。この2次除菌まで行った際の合計の除菌率は、97-8%程度です。1次除菌、2次除菌とも薬を内服するのは1日2回、期間は1週間です。
除菌治療終了後、2ヶ月後に尿素呼気試験という袋に息を吐く検査で除菌できているかどうかの確認を行います。ピロリ菌は一度除菌に成功すると再度陽性となる可能性は極めて低いため、除菌できたかどうかの効果判定は非常に重要です。
- ピロリ菌の除菌の効果
- ピロリ菌を除菌すると胃潰瘍、十二指腸潰瘍はほぼ再発しなくなります。
胃がんのリスクは3分の1以下と低下しますが、ゼロにはならないため、定期的な内視鏡検査は除菌後も続ける必要があります。
- ピロリ菌感染の疑いがある方は当院へ
- ピロリ菌は、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、胃がん、慢性胃炎(萎縮性胃炎)の原因とされ、除菌すればこれらの病気の予防となります。ご家族にピロリ菌に感染されている方がいらっしゃるなど、ピロリ菌のことが心配な方は、ぜひ当院にてお気軽にご相談下さい。