下痢
上記のような下痢症状の裏には、重大な病気が隠れている可能性があります。下痢は日常生活でよく起こる症状なため、「よくあること」と軽視してしまいがちです。しかし、放置するのではなく、まずは医療機関の診察を受けることをお勧めします。
下痢の種類と原因
<浸透圧性下痢>:生活習慣が主な原因
油分・糖分の多いものや、アルコールの過剰摂取など、生活習慣が要因の一つとなります。腸内の栄養が多すぎると、腸で水分がうまく吸収できないまま、便中の水分が増え下痢が起こります。,節酒、腹八分、薄味であっさりとした食事にするなどの生活習慣の改善で通常1~2日程度で治ります。
<蠕動運動性下痢>:過敏性腸症候群(IBS)や甲状腺の病気が主な原因
腸は口側から肛門側へ食べたものを運ぶために蠕動運動を繰り返しています。この蠕動運動が活発になり過ぎると、食べたものから水分を吸収しきれずに腸を通過してしまい、下痢が起こります。下痢の時はとうがらしやニンニクを避けるなどの生活習慣の改善も必要です。
<分泌性下痢>:食中毒・感染症が主な原因
腸内に細菌や毒素が入り込むことで起こる下痢です。腸は水分の吸収だけでなく、腸液などの水分を分泌する役割も担っています。その分泌量が多過ぎると、便の水分量が過剰になり下痢が起こります。
<滲出性下痢>潰瘍性大腸炎やクローン病・感染症が主な原因
腸内に炎症がある場合に起こる下痢です。炎症が起こっている部分から液体が滲み出たり、腸からの水分の吸収が減ったりして、便の水分量が過剰になり下痢となります。
- 下痢を伴う主な疾患
- <過敏性腸症候群(IBS)>
検査では異常が見つからないのにも関わらず、慢性の下痢や腹痛を引き起こします。症状として、通勤や通学で電車に乗ったときや、重要な用事の前など、精神的負荷が掛かった際に症状が現れます。刺激物や消化の悪いものを取った際にも、下痢を引き起こすことがあります。 排便後腹痛が改善する、夜間便意や腹痛による覚醒がない、休日よりも平日の方が症状が悪化する、などの特徴がありますが、腫瘍や炎症性腸疾患など症状の原因となりうる異常がないということを大腸内視鏡検査で確認することが原則です。 自覚のないストレスによる消化管運動異常や知覚過敏が主な原因として考えられています。治療により、徐々に症状をコントロールできるようになってきます。
<潰瘍性大腸炎>
大腸の粘膜に慢性的な炎症が起きることで、粘膜のただれや潰瘍が多発します。腹痛や下痢、血便などが症状として現れます。長期間にわたる治療が必要であり、診断には大腸内視鏡検査が必要です。
<大腸ポリープ>
腸内にイボのように突き出た腫瘍のことです。大きなポリープは粘液を多く産生するため、下痢に原因になることがあります。下痢以外にも便秘や血便という症状も見られることがあります。 放置すると大腸がんに進行することもありますが、完全に切除すればその部位のがん化の可能性はなくなります。
<大腸がん>
がんができると、腸内が細くなります。それにより、便秘がちになる場合が多いですが、粘液を多く産生するタイプの大腸がんでは反対に下痢になる場合もあります。
- 下痢の治療
- 下痢の治療は、その原因によって治療が異なります。そのため、診察や内視鏡検査を通して、原因を正確に突き止めた上で適切な治療を受けることが重要です。 水分と適度な塩分、あるいはOS1などの経口補水液をとり、脱水を起こさないようにします。口から全く水分を受けつけない時は点滴で水分を補う必要があります。 市販のスポーツドリンクやジュース類の甘味料が下痢を悪化させることもあります。またお茶、紅茶、ウーロン茶はカフェインが入っていますので水代わりにそれらを飲みすぎるとカフェイン過剰となって吐き気などの胃の症状が悪化することがあります。それらはほどほどの摂取にとどめましょう。 症状がつらい場合は薬物療法を行い症状を緩和させます。 日常生活としては、おかゆ、うどん、ゆでた野菜など消化に良いものを摂り、油、香辛料、牛乳やヨーグルトなどの乳製品をとらないようにしましょう。腹八分、水分を多めに、を心がけましょう。 また体を冷やさないように心掛けてください。
- 下痢でお悩みの方は、当院の下痢外来へ
- 当院では、下痢症状や過敏性腸症候群などの疾患でお困りの方の、検査や治療を行っております。診察や内視鏡検査を通して、患者様一人一人に合った治療法を提案致します。下痢は身近な症状ですが、検査をしてみたら大きな病気が見つかる可能性もあります。自身の判断で放置することはせず、まずは一度当院へご相談ください。